霊の存在など信じないぼくが、信じそうになった話
ここ数日、蒸し暑い日が続いていますね
ぼくは暑いのが苦手なので家に帰ってくるなり、クーラーの電源を入れています
今回はそんな暑さも吹き飛ぶ・・・かどうかはわかりませんが
たまには怖い話をしてみようかと思います
これはぼくが介護をやっていた頃の話
とある夜勤の日
夜中の12時をまわったころ、奥の居室から『か細い声で』歌が聞こえてきたんです
認知症の方と接したことがある方なら驚く事じゃないですね
これは見当識障害といって、認知症の方によくみられる『ここはどこ?私は誰?』
な状態になっているんです
このおばあちゃんは時間を問わず、よく歌いだす方でした
だからというわけではないのですがその時は、他の利用者さんの介助をしていたこともあり
歌っているおばあちゃんの対応は後回しにしたんです
その間もおばあちゃんの歌声は続きます
しばらくしても歌が終わらないので、手が空いた頃を見計らい
声を掛けてみることにしました
「〇〇さん?」
『は~い~』
「どうかされましたか?」
『あはは、歌を歌っていたんですよ~』
「そうですか、でももう真夜中になりますよ?」
『あら?そうなのゴメンナサイね~』
ここで退室しましたが、この程度で寝てくれれば介護士なんていらないんです
おばあちゃんはしばらくすると、また歌いだしました
そんなやりとりを数回続けていたんですが
あまりに寝る様子がないので、本人に声を掛けてリビングに連れてきました
話を聞いていれば寝てくれると思ったんです
しばらく話を聞いていると、突然そのおばあさんが
『その方は、あなたの知り合いかしら?』と言い出します
時刻は夜中の1時をまわったころ
リビングにはぼくと、そのおばあちゃんの2人だけ
その方というのが誰を指したのか分からず、一瞬ゾッとしましたが
その時は調子よく
「そうです、ぼく知り合いが多いんですよ~」と返しました
『ははは、それはいいことですね~』とおばあちゃん
じゃあ今、あなたの横に座っいる方は、あなたのお姉さんですか?
ここら辺から本気で怖くなってきたのを覚えています
ぼくは誤魔化すように
「あぁそうですよ~〇〇さん、そろそろ寝ましょうか」
と、やや強引に話を止めようとしますが
『あぁ~かわいらしい方ねぇ、キレイな髪の毛で~』
と、話を続けるおばあちゃん
「〇〇さん?もう寝ましょうよ、ね?」と焦るぼく
『あぁかわいらしい、にこにこ笑ってらっしゃる~』
その後おばあちゃんの話は続きましたが
なんとかたしなめ、居室に戻って寝てもらいました
ぼくは霊感は全くなく、信じてもいないのですが
ひょっとしたら・・・ひょっとするのかもしれません